曲ごとに歌声が変化するアーティスト③ 安本彩花(私立恵比寿中学)
不器用な努力家
アイドルグループ私立恵比寿中学のメンバーで、出席番号5番。
歌と踊りだけでなく、作詞作曲もこなすマルチプレイヤー、安本彩花。
彼女の場合、詞に合わせて歌声が変わっている。
彼女は曲の意味を誰よりもしっかり汲み取って、歌い方につなげているように思う。
それは一歩ずつ着実に積み重ねてきた努力の賜物。
今回は『曲ごとに歌声が変化するアーティスト』シリーズの3人目です。
4種類の歌い分け
かつてはエビ中のボーカロイドと言われていた時期があったようで(その時代のことはあまり知らないが)、昔の映像を見ていても表現に自信がなさそうだった。
それが今となっては「表現力の安本彩花」と言えるぐらいの歌いっぷりを見せてくれる。
基本の歌い方は4種類。そして組み合わせ。
では、歌い方の特徴とそれが分かりやすい楽曲を紹介していきたい。
①コミカル
エビ中の楽曲的にこの歌い方の登場回数が最も多い。抜群のリズム感も映える。ちょっと引っ掛かるように、ぷつぷつ途切れるように、破裂するように歌っている。擬音語で言えば、ぽよんぽよん。音量も声の伸びも強弱があり、メリハリがついている。活舌がいいんだか悪いんだかみたいな部分が歌い方の面白さを出してるように思う。
熟女になっても :原曲ではなく、ライブバージョンのラップパート。
仮契約のシンデレラ :全体的に。特にAメロBメロ。最新のバージョン(6人体制)が◎。
②パワフル
イケ本と呼ばれるあれです。喉全開。声を枯らしてしまうぐらいの気迫。一語一語を聴かせようと魂がこもっていて、歌声に重みが感じられる。もはや男性の声量ぐらいと勘違いするほどの力強さ。ロングトーンでもそのパワーが落ちないのがすごい。発声した音を余すことなくそのままの熱量で出してる。発音で言えば、タ行がツァ行になる。
紹介する2曲に共通して、ライブバージョンのフェイクがまさにこれ。
君のままで :安本をフィーチャーした曲。全体的にバッキバキのエレキに抜群に合う。
HOT UP!!! :落ちサビ。なんならハモリも。
③エモーショナル
喉を狭めてしっとりとかつ感傷的に優しく歌い上げている。出ない声を絞り出しているような感覚。裏返りそうで裏返らないギリギリのラインを攻めている感じがあるからかもしれない。母音がア段イ段の歌詞に特徴があるように思う。音よりも息が多め。実際に歌う姿を見ていなくても歌声から表情が見える。このエモい歌声はピカイチだと思う。タメも一級品。
まっすぐ :1番分かりやすいのは落ちサビ。2Aも。
ジャンプ :安本の代名詞。ラップパート。
他にも「日進月歩」の2Bの歌詞"つまづいたその先に咲く"の"咲く"のタメる部分も本当に染みる。
④ソフト
彼女の優しい人柄がそのまま歌声に出ている。しっとりと語りかけるような歌声。声の起伏は少なく全体的に落ち着いたトーンに。歌い終わりをピタっと止めて、丁寧に歌っているのが印象的。でもどこかふわっとしている。そして、高音域がほんとに綺麗。彼女は音域が広いからか、歌声が少しの濁りもなく伸びやか。
なないろ :1Aと落ちサビ
涙は似合わない :2AとCメロのソロパート。歌詞と歌声が相まってる。
YELL :6人バージョンの歌い出し。
番外編
組み合わせの曲をいくつか紹介する。
・①×④の歌声
コミカルに優しさをかけると、ポップな歌声に変化している気がする。雨粒が弾けているような感覚を覚える。「結ばれた想い」「SHAKE SHAKE!」など。
・③+④の歌声
この2つが混じり合うと、切なさがすごく感じられる。思いすぎた苦しさ、消えてしまいそうな儚さが滲んでいる声。ユニット曲「リフレインが、ずっと」を聴いてほしい。
私立恵比寿中学 「クリスマス大学芸会2018 DAY3~スペシャルロイヤルケーキ」LIVE映像
新しいファンを獲得し続ける歌声
先に紹介した歌声はどれも普段の話し声と違う。強いて言えばコミカルなのかな。
話し声は舌足らずな感じがある。(余談だが、嵐の大野くんもそう。Juice=Juiceの段原瑠々ちゃんも。)
でもステージ上では、名前のように彩りのある歌声を披露してくれる。
男性としての歌い方と女性としての歌い方の両方できる人。
ハモリでも同じように発揮できるからすごい。 同じラップでもこうも違う。
そんな目まぐるしく変わる歌声に魅了された人は多いんじゃないか。
彼女はきっとまた、新しい景色を見せてくれそうな気がする。
『曲ごとに歌声が変化するアーティスト』過去記事はこちらから↓
yakkofeemusiclog.hatenablog.com
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