楽曲レビュー「Flow」Maica-n
この子、なにもの？
これがどうやら彼女を売り出すキャッチコピーらしい。
悔しいがまんまと引っ掛かってしまった。
どこの誰だか全く知らなかったが、この曲がラジオから流れたとき、衝撃が走った。
誰が歌っている何という曲なのか？ すぐに調べた。
Maica_n メジャー1st EP 『Unchained』M4
「Flow」のレビューです。
Maica_n -「Flow」Recording Document Movie
歌手と曲の概要
公式やタワレコHPによるとMaica_nは徳島育ちの女性シンガーソングライターだそうだ。
この曲が収録されているEP『Unchained』でビクターからメジャーデビューをする。
インディーズ時代はデビュー作としてアルバム『秘密』を出している。
Spotifyの「Early Noise 2020」にNovelbright, Vaundy, 藤井風などとともに選出された。
そして全国でパワープレイも獲得している。
そんな新進気鋭のアーティストである。
続いて楽曲「Flow」について。
この曲の参加ミュージシャンは彼女よりも1回り、2回りも上の年代のベテランばかりである。その中でもひときわ目を引くのが斉藤和義。レコード会社が同じビクターだから実現したのだろうが、それにしても豪華だと思う。
まあでも最近の傾向からすると、デビューしたての歌手に大物メジャーアーティストが加わるのは普通になってきているのかもしれない。Aimerとかmiletとかもそうだったから。
中性的な魅力
彼女の最大の武器は声だと思っている。
男性キーで歌いながら、その中に女性のエッセンスが入っているような歌声になっている。言うなれば中性的な声。
この曲は基本的に低音域中心に進行しているので、男性の声に近い歌い方の印象が強い。
ルックスも中性的。クールに歌う様子を見ていたら男性なのかと錯覚してしまう。
歌詞の内容から、思い悩む女性を励ます男性目線の曲だと推測できる。
歌い出しの歌詞が"魔法をかけよう"なのだが、この部分を聴いたら同じ女性でありながら心底惹かれ、惚れてしまった。
歌詞(1番)がこれ↓
魔法をかけよう 今夜君がよく眠れるように
静か過ぎる街が余計に淋しい
十六夜のlight 締め付ける痛みを抱えながら
誰もが願う日を待っている
as I am いつから？
自分の事で上手く泣けなくなった
as you are 素敵さ
心枯れる前にその温度感じて
Baby, come down with my words and nobody knows it
錆びた"ゆめ"にカタつけて
Let me see you soul just for now
もっと深いとこまで
明け方のキスでその瞬き千年先まで
優しくずっときっと again and again
聴いていて恥ずかしくなってしまうようなセリフが歌詞に盛り込まれていて、歌声と合わさり、この曲のムードが色濃く演出されている。私がこの登場人物の女性だったら確実に陶酔している。
曲調としてはミドルテンポの脱力系だ。聴きながら横に揺れたい気分。
軽やかに浮いている感じが、楽曲タイトルの「Flow」を体現しているように思える。
バンドの音は彼女の魅力である特徴的な声を引き立たせるためシンプルで、構成はギター、ベース、ドラム、キーボード。
普通の8ビートのリズムにギターの"ジャーン、ジャッジャーン"というストロークパターンが基本。サビ前には全く演奏のない空白部分(ブレイク)が入ることによってメリハリがつく。
そこに斉藤和義のアクセントになる渋めのアドリブギターが入ってきてカッコいいのはもちろん単調なリズムだけど飽きのこない曲に仕上げている。
一言では表せない
「Flow」を聴いたとき、この歌手は普通に20代後半ぐらいの大人だと思ったが、実際には20歳にもなっていないことに衝撃を受けた。こんなに大人びた音楽をやっているのが信じられなくて、謎めいた部分が多い人だなと感じた。
しかし、彼女のインタビューを読んでいたら、等身大の女性がそこにはいた。
きっとどれも本当の彼女だし、誰にも本当の彼女は分からないんだろうなあとも思う。
一言で表せないアーティスト、それがMaica_n。
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