曲ごとに歌声が変化するアーティスト② 家入レオ
超実力派シンガーソングライター
FLOWER FLOWERのボーカルギターyuiや絢香など名だたる歌手を輩出した音楽塾ヴォイスの出身のアーティスト。
レコード大賞の最優秀新人賞などさまざまな受賞歴があり、その実力は折り紙付き。
彼女もまた、歌声がころっころ変わる。
家入レオの歌い方の違いは細かくて、言葉にするのが難しかった。
『曲ごとに歌声が変化するアーティスト』シリーズ2人目は、
シンガーソングライター、家入レオです。
4種類の歌い分け
私が言葉で表現しきれるのが4種類なのであって、実際聴いていればもっと多くのバリエーションを感じられると思う。
デビューしたての頃にレコーディングされた楽曲は歌い方が似ていたが、年々パワーアップして幅が広がっていった気がする。
前回同様、解説とそれぞれの歌い方が分かりやすく聴こえる楽曲を並べておく。
①アグレッシブ
家入レオの歌声と言えば、このイメージ。という人が多いと思う。男っぽさ、そして若さが混ざった声。音を口の中でこもらせている感じがする。でももやっと聴こえることはなく、むしろ歌詞一文字一文字のインパクトが強い。喉を使って歌っているように聴こえるけれど、腹式呼吸が目立つ。強烈なエネルギーと声量が比例して放たれていく。
これらの2曲はデビュー当時と歌い方がまるで違う。「Hello To The World」の今の感じもこの歌唱寄りになったと思う。今の歌声をめちゃくちゃ聴いてほしい。生歌、カッコいいから。惚れるから。
②ソフト
普段、緊張しているときの話し声。彼女の音域、歌唱力なら多くの曲を地声で歌えると思うが、あえて裏声に近い声で歌っている。(ミックスボイスと言えるのかな…?)この声には「しっとり、やわらかい」という言葉が似あう。喉を狭めて、絞り出すように声を出しているように思える。
同じソフトさでも、楽曲によって切なさ、優しさの両極面を出せるのが凄い。
・切なさ
彼女自身の最大のヒット曲、「君がくれた夏」もこれ。
アルバム『TIME』M2収録曲の「春風」もそう。冒頭のメロを聴くだけで胸が苦しくなる。Short Filmのアカペラが本当に良い。
・優しさ
ドラマ主題歌となった「ずっと、ふたりで」がこれにあたる。より分かりやすいのがアルバム『DUO』M10の「Bouquet」だ。1Bの歌詞"未来を育てよう"がポイント。
③クリア
純度100%の歌声。ソフトな感じと似ているが、ソフトはピタッと歌い終わりに止める一方で、クリアは歌い終わりにビブラートがかかって、その声がどこまでも伸びていきそうな印象を受ける。歌っている曲調はバラバラでも、どの曲にもフィットする声。
それぞれの明日へ :応援ソング。サビの歌い方。
もし君を許せたら :冷たい雰囲気。全体的にこの声。
恍惚 :艶やか。美しすぎる。AメロBメロがこの声。 進につれて声が変わっていく。
④カジュアル
ノリがいいアップテンポの曲に現れやすい歌い方。多分、通常の話し声に一番近くて、弾けているように聴こえる。ビブラートが少なく、ハリがある。楽曲の明るさや楽しさをのせて歌っていて、それがこちら側まで伝わってくる。
Party Girl :ライブバージョンを聴くべし。
Brand New Tomorrow :①に近い。最初から最後までフルスロットル。
番外編
家入レオの歌い方はまだまだ掘れば掘るだけ見つかる。分類できなかった曲と4種類の組み合わせの曲を紹介したい。
・JIKU
淡々とした歌い様。まるで壊れた機械のようで、心ここにあらず、というか多分無い。初めて聴いたときその恐ろしさに震え上がった。
・だってネコだから
ひたすら可愛らしい歌い方。楽曲に合わせて甘えるような声。世間に広がっている家入レオの声しか知らない人はきっと想像できない。
・Spark
③+④の歌声。歌詞にある"青さ"が歌を聴けば、見えると思う。広大で爽快なさまが2つの声が混じり合うことによって生まれている気がする。
家入レオの歌声はまだまだ変わっていく。
最初に話したように、彼女の歌い方の違いはめちゃくちゃ細かい。
でもその微妙なニュアンスの違いが曲の雰囲気を左右しているから驚きだ。
彼女の活動域は広くなっている。女優としてドラマで演技をしたり、朗読劇に参加してみたり、エッセイを書くようになったり…
ほとんど自分で曲を作っていたところから、提供してもらう機会が増えた。
そうやって沢山吸収したものが、すべて歌につながっているように思う。
変化していく彼女からますます目が離せない。
『曲ごとに歌声が変化するアーティスト』第一弾はこちらから↓
yakkofeemusiclog.hatenablog.com